こんにちは！胃腸肛門ランドです。
ここ数日でグッと冷え込みましたね。皆さん、体調はいかがでしょうか？
インフルエンザが流行ってくる時期がだんだん迫っています。今のうちから体調を整えてしっかり風邪・インフルエンザ対策をしていきましょう。
インフルエンザ予防接種もそろそろ受けておかないと抗体が出来るまでにインフルエンザが流行りだしてしまうかも？ご注意を！

さて、インフルエンザについて語りだす前に今回のテーマについてお話ししましょう。
今回は子供の病気シリーズ第3弾「腸重積」です。
普段ではあまり聞いたことがない病気かも知れませんが、この病気は子供…赤ちゃんに多く見られるのが特徴です（もちろん大人がなることもあります）。

腸重積とは？

腸重積とはその名の通り、腸の一部が重なりあってしまう病気です。
何かしらの原因で、小腸の終わりである回腸（小腸の一部）という部分が大腸に入り込んでしまうのです。
・・・・・と、言われても分からないと思うので図を見てきましょう。確かに腸が重なってしまっているのが分かります。

オレンジの部分が大腸、黄色い部分が小腸です。
小腸が大腸に入り込んでしまった事によって腸が細くなっているのがわかりますか？これが腸重積という状態です。
こうなると入り込んだ内側の部分の血流が悪くなり、放っておくと腸が壊死（えし：身体の細胞だけが局所的に死んでしまうこと）してしまうこともあるとても怖い病気です。
赤ちゃん（特に体格のいい男の子）に多い病気ですが、低い確率で大人でもかかることがあります。
大人も子供もかかってしまうこの腸重積という病気、その症状はどんなものが表れるのでしょうか？

赤ちゃんの腸重積の症状

■赤ちゃんの症状
・嘔吐
・腹痛（約15～20分おきに激しい腹痛を訴えるのが特徴的で、診察の時には痛みが落ち着いていることも多々あります。）
・粘血便（イチゴゼリー状のものがでます）
・ソーセージのようなしこりの出現
生後6か月前後の元気な赤ちゃんが急にぐったりし、やがては顔色が血の気を引く状態にまでなります。
このような状態、症状が現れた場合にはすぐに診断をし、治療を開始する必要があります。

ちなみに・・・・・
■大人の症状
・慢性的な腹痛
・便秘

同じ病気なのに、大人と赤ちゃんではこれだけの症状の差があります。ちょっと驚きですよね。
さて、話は戻りまして…これだけ症状に差がありますから、予想は出来るかも知れませんが原因もそれぞれ全く違うものによって引き起こされる病気とされています。

赤ちゃんの腸重積の原因

原因不明が多いと言われていますが、よく言われるのは
腸に分布しているリンパ組織が腫れて大きくなり、この部分が便のように腸内に運ばれてしまうことで大腸に入っていく
という説です。
時にはリンパ組織ではなく、小腸にポリープがあったり、生まれつき腸管の一部が袋状になっている場合にそうした場所から腸重積がおきます。
リンパ組織が大きくなる原因としては風邪などのウイルス感染が指摘されており、そのために約1/4の腸重積の赤ちゃんは風邪症状があるようです。

さて、こうした原因から先ほどあげたような症状が見られた場合は診断をして、早急に治療を行う必要があります。どのような治療を行うのでしょうか？

腸重積の治療方法

この病気にかかってから早い段階で治療を行うことが出来れば、バリウム（造影剤など）や空気を肛門から注入し、腸に圧を加えることで腸重積をもとの状態に整復（元の正常な位置に戻す）することが出来ます。

赤ちゃんは発症した時間から24時間以内であれば上記のような治療をすることが多いです。
こうした治療法でも元に戻らなかったり、発症から時間が経ってしまっていて急を要する時には開腹手術となります。
一方、大人の場合は腸を切除するなどの開腹手術が行われることがほとんどです。
どちらにしても、重症化する前に早めに病院にかかり診察を受けることが大切だと言えます。

最後に

いかがでしたか？
赤ちゃんは生後3ヵ月～2年程度の子供に多く見られるとされています。それくらいのお歳のお子さんがいる方は注意して、こんな病気もあるのだと特徴的な症状を覚えておくといいかもしれませんね。
また、再発も約10％にはみられますので病気が起きたときの赤ちゃんの症状は覚えておくとよいでしょう。

さて、今回は子供の腸重積についてお話ししました。今回の記事でも少しだけ大人の腸重積に触れましたが、よく腹痛があったり便秘だったりする人はちょっとドキッとしたかもしれません。次回は同じ腸重積でも全く症状の違う大人の腸重積についてお話ししていきましょう。