胃腸肛門ランド

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肛門のパレード

目次

肛門のパレードでは3つのフロートが貴方をお出迎え!?

貴方のドキッとする症状のフロートはありますか?

思い当たる病名をクリックしてください。症状・検査内容・治療法・日常生活で気をつけることにジャンプ致します。

「肛門から常に出た状態のイボがある」
「肛門を出たり入ったりするイボがある」
「2~3日前から急にイボができて痛い」
「前からあったイボが増えた気がする」
という方は下のような病気かも?

○ 痔核(いぼ痔)はこちら
○ 血栓性外痔核はこちら
○ 尖圭コンジローマはこちら
○ 肛門ポリープはこちら

「ポタポタと出血する」
「便に血液がついている」
「排便時に痛みがある」
という方は下のような病気かも?

○ 裂肛(切れ痔)はこちら
○ 直腸脱はこちら

「肛門の周り(尾てい骨や臀部も含め)が膿んでいる」
「膿んで膿が出て・・・をずっと繰り返している」
という方は下のような病気かも?

○ 痔ろうはこちら
○ 肛門周囲膿瘍はこちら
○ 膿皮症はこちら
○ 毛巣洞はこちら

裂肛(切れ痔)
■裂肛(切れ痔)とは
一般に切れ痔と呼ばれており、便秘などが原因で硬い便が出た際などに、肛門部が切れることによって生じます。特に便秘がちな人が発症し、男性よりも女性に多くみられる傾向があります。

■裂肛(切れ痔)の症状
排便時の出血もよく見られます。多量の出血はまれで、おしりを拭いた際にトイレットペーパーに付着する程度です。裂肛では、肛門括約筋が緊張しているので、血管がふさがれて出血が止まるのだろうと考えられています。
裂肛のある部位が炎症のためにはれると、違和感が生じる場合もあります。炎症が持続して、裂肛の腸側に「肛門ポリープ」、皮膚側に「みはりいぼ」という外痔核ができ、それらが違和感を引き起こすこともあります。炎症が長期化すると、分泌物によって皮膚にびらんやかゆみが生じることもあります。また、肛門狭窄が起こることもあります。

■裂肛(切れ痔)の検査方
問診
指診
肛門鏡検査
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

■裂肛(切れ痔)の治療法

側方内括約筋切開術(LSIS)

薬物療法を行っても裂肛が繰り返されるケースでは、内外肛門括約筋の過緊張があって切れやすくなっていることがわかっています。そこで、この括約筋の過緊張状態を改善する手術が「側方内括約筋切開術:LSIS(正式名称 Lateral Subctaneous Internal Sphincterotomy)」です。
内括約筋の一部を側方(肛門の左右のどちらか)で切開し、狭くなっている肛門を少し拡げます。
括約筋を切開するといっても、適切な範囲内で切開を行えば肛門の締まりがなくなってしまうことはまずありません。
手術時間はたった数分で、簡単な日帰り手術と言えます。

裂肛切除と側方内括約筋切開術

慢性の裂肛は深いポケットのようになっており、治りにくい形になっています。そこで、裂肛を肥大乳頭・肛門ポリープや見張りイボとともに切除して(裂肛根治術)、治りやすい三角形の形に整えます(これを「ドレナージを作る」といいます)。加えて、側方で内括約筋の一部を切開し(LSIS)肛門を拡げて治療します。
この手術は、肛門がそれほど狭くなっていない段階の裂肛に行われます。裂肛を繰り返すことによって生じた軽度の肛門狭窄の原因が内外括約筋の過緊張であるケースに特に有効です。

裂肛切除と皮膚弁移動術(Sliding Skin Graft:SSG)

裂肛切除を通常通りに行った後に、切除後の創部に近くの皮膚部分を移動させてもってくることで、肛門部分が拡がることになります。スライドさせた皮膚の近くに三日月状の減張切開を行ってテンションを解除して、皮膚が肛門に寄りやすくします。
裂肛の多くは「裂肛切除+側方内括約筋切開術」で治療できるので、「裂肛切除+皮膚弁移動術」が必要となるケースはそれほど多くありません。裂肛を繰り返すことによって生じた肛門の狭窄が比較的高度で、肛門狭窄の主原因が肛門の皮膚部分である(裂肛の潰瘍化によって肛門上皮がひきつれて狭くなっている)ケースに特に有効です。
この手術は術後に便秘をしてしまうと縫合した部分がはずれて裂肛が再発することがあるため、術後の便通をうまく整えることが重要です。

■日常生活で気をつけること
切れ痔(裂肛)にならないために重要なことは硬い便や便秘にならないことです。
そのためには食生活の改善が必要になってきます。

習慣的な便秘

普段、大腸は収縮活動(ぜんどう運動)をすることで、便を送り出しています。このぜんどう運動は1日中同じようにあるわけではなく、朝食を摂ると眠っていた胃と腸が目を覚ましてぜんどう運動が起きることが分かっています。この胃結腸反射がスムーズにおこれば排便が促されますので、便秘が解消しますので、生活習慣の改善をしましょう。
また、運動不足の方は、大腸のぜんどう運動が低下し胃結腸反射が弱まり便秘となります。便秘のタイプとしては最も多いといえるでしょう。典型的なのは病院に入院中の患者さんです。1日中ベッドで安静にしていると、ほとんどの方が便秘傾向になりますので注意が必要です。
そしてしっかりと食物繊維を接種しましょう。野菜・穀物・豆類・海藻類には食物繊維が含まれています。食物繊維は大腸粘膜に刺激を与え、排便を促します。
現代の日本人は食物繊維の摂取量が非常に少なくなっており、便秘の原因となっています。サプリメントや寒天でもよいので、十分に摂取するよう心掛けましょう。特に野菜は大腸癌を予防する食物でもあるため、料理などへ積極的に取り入れてみましょう。
また、食物繊維を腸の中で膨張させて便の量を増やすために、水分を取ることも大切です。

精神的な便秘

うつ病の方は便秘になることがあります。最近疲れやすい、何事に対しても意欲がわかない、夜眠れないなどの症状があれば「うつ病」 の可能性がありますので、心療内科や精神科を受診しましょう。
また、そこまででないにしても、最近では過敏性大腸症候群が多くなっています。日常生活のいろいろな精神的ストレスが腸に影響を及ぼし、腸が過敏状態になり、けいれんして便がスムーズに出なくなる状態です。
若い女性に多く、日頃からストレスを軽減して精神の安定を図ることが重要です。

痔核(いぼ痔)
■痔核(いぼ痔)とは
肛門の血管が膨らんでできた「こぶ」のようなものをいいます。
原因は、不規則な排便習慣で便秘になり、腹圧が過度にかかることです。一説には、人間が完全直立歩行できるようになったことにも、原因があるとされています。直立歩行する生活では肛門に腹圧がかかりやすく、肛門の血流が心臓に戻りにくくなって、静脈自体が膨らみやすいのです。
性別による発症の差はほとんどなく、痔の中で一番多く見られる症状が痔核です。
痔核の組織は誰でも持っており、肛門から便やガスが漏れるのを防ぐ、いわば「ゴムパッキン」の役割を果たしているともいわれています。つまり痔核組織があるおかげで、肛門がぴったりと閉じられて、便やガスが漏れないようになっているのです。
そこに、力を入れて踏ん張る仕事、長時間同じ姿勢の仕事、妊娠などの要因が加わると、痔核組織が少しずつ伸ばされて、やがて排便時に脱出するようになります。

■痔核(いぼ痔)の症状
痔核の三大症状は、出血・脱出・チクチクと痛む疼痛です。出血については、紙につく程度の軽症のものから、ポタポタと止まらずに貧血になるほどの重症のものまで様々です。肛門から脱出したときには、肛門から飛び出してくる感じや異物感があります。初期では、脱出しても排便が終われば自然に戻りますが、進行すると、常に痔核が脱出し、指で押さなければ戻らなくなります。さらに進行すると、最終的には指で押しても戻らなくなります

■痔核(いぼ痔)の検査方
問診
指診
肛門鏡検査
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

■痔核(いぼ痔)の治療法
軽度の痔核であれば軟膏などの薬で治療が可能な場合もあります。

結紮(けっさつ)切除術

痔核の手術と言えば、通常はこの「結紮(けっさつ)切除術」のことを指します。
痔核根治術(結紮切除術)では、痔核に侵入している動脈を結紮(けっさつ)し、肛門部の皮膚を2~3cm含める形で痔核を切除していきます。痔核は表面の浅い層にあるので、肛門括約筋(こうもんかつやくきん)を傷つけることはありません。
切除後は、内痔核のあった付近は縫い合わせをし、皮膚に近い部位は自然治癒に任せます。つまり、結紮(けっさつ)切除術後の傷は、奥の半分のみが縫われていることになります。
この結紮(けっさつ)切除術が術後の痛みが最も少なく、かつ傷も治りやすいとされています。
この結紮切除術は、どんな位置にできた痔核(内痔核、内外痔核、外痔核)であっても、どんな進行度(Ⅰ度~Ⅳ度)の痔核であっても施行可能であり、万能な痔核の治療法と言えます。

PPH法

PPH法とは、痛みを感じる神経を傷つけずに、特殊な器械(PPH)を用いて痔核を直腸方向へ吊り上げる治療法です。
同時に痔核に流入する血管を遮断することになるので、うっ血していた痔核は次第に小さくなります。内痔核は、術後4~6週間以内に縮小し完治します。
このPPH法で切除される部分には痛みを感じる神経がないので、結紮(けっさつ)切除術と比較して術後の痛みが軽いのが特徴です。
このPPH法は、その原理から考えて肛門内に全周性に均等に内痔核がある場合に有効です。
その反面、1か所だけの大きな痔核や外痔核成分を含むケースには不向きな手術です。
直腸粘膜脱やホワイトヘッド肛門といった特殊なケース向きの手術法と言えます。
ホワイトヘッド肛門はかつて行われていた痔核の手術(ホワイトヘッド手術)の後遺症のことを言います。ホワイトヘッド手術とは、痔核のある部位の肛門上皮と粘膜を環状(丸い形)に切除し、縫合する方法です。この手術は、術後数年で直腸部分が下垂して粘膜の脱出・出血・下着の汚れが出てきてしまいます。このようになった肛門を「ホワイトヘッド肛門」と呼びます。
現在ではホワイトヘッド手術は評判が悪くなり、全く行われていません。

■日常生活で気をつけること
便秘、長時間のいきみ、妊娠などが原因になります。
食物繊維は大腸粘膜に刺激を与え、排便を促します。便秘にならないためにはしっかりと食物繊維(野菜・穀物・豆類・海藻類)を摂取しましょう。また、水分の摂取も重要です。一日1.5~2Lしっかりと飲むことで便秘の解消につながりますよ。
長時間同じ姿勢で仕事をしていると、同じ体制でいることにより肛門がうっ血してしいぼ痔の原因になってしまいます。特に、タクシーの運転手や事務作業など座っている時間が長い仕事wされている方は、肛門がうっ血しないように一時間おきに立ち上がったり、ストレッチしたりなどして予防をしましょう。

痔ろう(穴痔)

■痔ろう(穴痔)とは
痔ろうとは別名あな痔とも呼ばれます。腸内の細菌が肛門陰窩(いんか)というくぼんだ部分から侵入し、肛門腺が化膿していって肛門のまわりに管ができたものです。この管によって、肛門の内側と外側が突き破られた状態になっています。
痔ろうは下痢気味の男性に多い痔で、その割合は女性の5~10倍といわれています。下痢便は小さな肛門陰窩から侵入しやすいため、痔ろうが発生しやすいと考えられています。裂肛やクローン病・潰瘍性大腸炎といった腸の病気や魚骨などの異物が原因となっている場合もあります。

■痔ろう(穴痔)の症状
痔ろうの初発は大概の場合、肛門周囲に膿がたまり、強い痛みが出ます。
これを肛門周囲膿瘍といい、放置すると数日で膿が肛門付近の皮膚を破って出てきます。通常はそうなる前に医療機関を受診して、切開排膿処置を行います。切開排膿処置によって一旦痛みは楽になりますが、痔ろう自体は残ったままなの大腸カメラが出てきます。

■痔ろう(穴痔)の検査方
問診
指診
肛門鏡検査
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

■痔ろう(穴痔)の治療法
現時点では、残念ながら手術せずに痔ろうを治す方法はありません。痔ろう根治術によって管をなくしてしまうことが唯一かつ確実な治療です。世界中の大腸肛門科専門施設で、手術せずに痔ろうを治療する方法が研究されていますが、まだまだ実用化するレベルではありません。
痔ろうと診断され、手術が必要と判断されても、「どうしても手術はいやだ」といって様子を見てしまう方もいらっしゃいますが、しばらくしてまた肛門周囲膿瘍を繰り返し、最終的にはやはり根治手術を受けることになる場合が大半です。
痔ろうの手術は、痔の手術の中では術後の痛みが最も少ないと言われています。

切開排膿処置

まずはたまっている膿(肛門周囲膿瘍:後述参照)を出すために切開排膿処置を行います。こうして膿を出してから痔ろうの手術の運びとなるのが一般的です。自然に排膿されている場合などもあるので医師の判断によります。
排膿をした後もそのまま放置してしまうと多くの方は再び膿や瘍をつくってしまい、同じ苦痛を繰り返すことになります。そして、さらに複雑化してしまうケースや、長年放置した結果癌化してしまい人工肛門を余儀なくされるケースもあります。したがって、切開排膿後数週間たってから、痔ろうの手術をする必要があるのです。

瘻管切開開放術

1次口から2次口までの瘻管を、完全に切開する方法です。
切開後の患部は平面になっており、肉芽が盛り上がっていくことで完治します。
この「瘻管切開解開放術」は、再発率1~2%と、根治性が高いことが利点です。
ところが、外肛門括約筋の深い部分を瘻管が貫いている場合には、切離する括約筋部分が大きくなってしまうのでこの方法は用いられません。30~40年以上前には、痔ろうと括約筋の関係がよく理解されずに手術が行われ、結果的に括約筋を大きく傷つけてしまい、おしりの締まりが悪くなることがありました。しかし現在では専門家を受診する限り、このような括約筋不全は起こりえません。

括約筋温存術

瘻管を切開せずにくり抜いて、さらに1次口を縫い合わせて閉じる方法です。 括約筋の損傷が理論上はゼロですので、術後の肛門機能だけを考えればベストな方法ですが、手術手技が高難度であることや再発率が15%程度と高いことが欠点です。

セトン法:輪ゴム法

瘻管に輪ゴムや糸を通して、強く縛って圧迫し、瘻管を数週間かけてゆっくり切開していく方法です。
時間をかけて括約筋を再生しながら切離していく方法ですので、肛門機能に関しては優しい方法と言えます。しかし、セトンを締め上げていく最中に軽い痛み・異物感があることもあります。

■日常生活で気をつけること
痔ろうの、主な原因は『下痢』です。そのため痔ろうにならないためにはまず下痢にならないことを心がけましょう。

1.大食い早食い(暴飲暴食)をやめる

食べ過ぎや早食いは消化不良を起こし、その結果、発生したガスが腸の粘膜を刺激して、腸が異常収縮するため、下痢が起こります。食事はよく噛んで、ゆっくりと食べるようにしましょう。また、水分のとり過ぎや、お酒の飲み過ぎに注意しましょう。

2.「衛生管理」を大切にする

食あたりや食中毒など、ウイルスや細菌の感染も下痢につながりますので、「衛生管理」が大切です。特に、生鮮食品などの加熱していない料理は食中毒を引き起こしやすいため、病原菌の多い夏場の魚介類などは、しっかり加熱するなど「調理法」にも注意しましょう。

3.下痢を起こしやすい食品を避ける

果物や豆類に含まれる「糖類」や「甘味剤」は、水分を腸内にためる作用があるため下痢を引き起こすことがあります。また、辛い食べ物やコーヒー、冷たい食べ物や飲み物なども、消化管への刺激によって下痢を引き起こすことがあるため、これらの「下痢を起こしやすい食品」は控えるようにしましょう。

4.肛門を清潔にする

排便後にウォシュレットを使ったり、入浴時に校門をしっかり洗うなどして、細菌が肛門陰窩に入らないよう事前に防ぎましょう。

肛門周囲膿瘍
■肛門周囲膿瘍とは
肛門周囲膿瘍は痔ろうと同じで陰窩(いんか)というくぼんだ部分から菌が侵入し、膿が溜まることで発症します。この「うみが溜まった状態」を、肛門周囲膿瘍と呼びます。
この状態のまま放っておくと、肛門腺から管が伸びていき、最終的には肛門の周りや肛門奥の粘膜に辿り着いてしまいます。このトンネルのような穴が形成された状態のことを痔ろうと呼びます。
体の抵抗力が弱っている時や多量の飲酒時にも起こりやすいといわれています。
また、異物が刺さっておこる場合や、膿皮症やクローン病、潰瘍性大腸炎、癌などによって発症する場合もあります。
どちらかというと女性よりも男性に多くみられる病気です。

■肛門周囲膿瘍の症状
突然、肛門に膿がたまって腫れ、激しい痛みが起こります。重症になると高熱、全身倦怠が起こる場合もあります。

■肛門周囲膿瘍の検査法
問診
指診
触診
肛門鏡検査
肛門超音波検査
造影CT検査
MRI検査

■肛門周囲膿瘍の治療法
切開排膿処置(切開して膿を出す治療)を行います。この処置は、少量の膿の時は麻酔なしか、局所麻酔を用いて治療をします。ただし、痛みで歩けないほどの量の膿が溜まっている場合や、高熱が出るほどの量の膿が溜まっている場合は激痛を伴うため、十分な麻酔が必要になってきます。
切開排膿をすると一旦痛みは楽になりますが、痔ろう(トンネルが出来てしまっている場合)は残ったままなので膿や粘液が出てきます。もし残った痔ろうを放置すると、多くの方は再び膿や瘍をつくってしまい、同じ苦痛を繰り返すことになります。さらに複雑化してしまうケースや、長年放置した結果癌化して人工肛門を余儀なくされるケースもあります。
したがって、切開排膿後数週間たってから、痔ろうの手術をする必要があるのです。
切開をする以外にも、肛門周囲膿瘍の治療には抗菌薬を服用し治していく方法もありますが、完治は困難のため、あまり行われません。しかし周囲に炎症が広がっている場合(蜂窩織炎)や、全身に菌が広がっている場合(敗血症)、切開排膿だけでは症状が改善しない場合には、抗菌薬を併用する場合もあります。

■日常生活で気をつけること
痔瘻と同じで下痢をし、体力が落ちて体の免疫力が落ちた時にかかりやすいので、まずは下痢にならないように注意しましょう。

1.大食い早食い(暴飲暴食)をやめる

食べ過ぎや早食いは消化不良を起こし、その結果、発生したガスが腸の粘膜を刺激して、腸が異常収縮するため、下痢が起こります。食事はよく噛んで、ゆっくりと食べるようにしましょう。また、水分のとり過ぎや、お酒の飲み過ぎに注意しましょう。

2.「衛生管理」を大切にする

食あたりや食中毒など、ウイルスや細菌の感染も下痢につながりますので、「衛生管理」が大切です。特に、生鮮食品などの加熱していない料理は食中毒を引き起こしやすいため、病原菌の多い夏場の魚介類などは、しっかり加熱するなど「調理法」にも注意しましょう。

3.下痢を起こしやすい食品を避ける

果物や豆類に含まれる「糖類」や「甘味剤」は、水分を腸内にためる作用があるため下痢を引き起こすことがあります。また、辛い食べ物やコーヒー、冷たい食べ物や飲み物なども、消化管への刺激によって下痢を引き起こすことがあるため、これらの「下痢を起こしやすい食品」は控えるようにしましょう。

4.肛門を清潔にする

排便後にウォシュレットを使ったり、入浴時に校門をしっかり洗うなどして、細菌が肛門陰窩に入らないよう事前に防ぎましょう。

血栓性外痔核
■血栓性外痔核とは
肛門の外痔核に血栓(血豆)を形成し、腫れや痛みを伴うようになる病気です。今まで痔の症状がなかった方にも、突然発症することがあります。
下痢、便秘でいきんだ時、スポーツで肛門部に負担がかかった時などに生じます。

■血栓性外痔核の症状
 数日間の経過で急激に痛みが強くなり、力を入れようとしても肛門の痛みのために力が入らないこともあります。痛みのために座ることができなくなったり、部位によっては歩くだけで鋭い痛みが生じます。
肛門周囲には、青紫がかった、エンドウ豆大の血栓が生じます。普通は1個ですが時には数個のこともあり、それが破けると血の塊が顔を出して出血に繋がることもあります。

■血栓性外痔核の検査方
問診
指診
肛門鏡検査

■治血栓性外痔核の療法
症状が軽い場合は坐薬、軟膏を使います。ひどければ抗炎症薬、消炎酵素薬、消炎鎮痛薬を内服します。1週間以内に痛みはとれ、血栓は1カ月以内に吸収されなくなります。
血栓が大きく、治りが悪ければ外来で局所麻酔をしたうえで、手術的に切開を加えて血の塊を除去します。血栓を取り除いてしまえば痛みは消えて楽になります。

■日常生活で気をつけること
肛門に、急激に負担がかかると血栓性外痔核ができてしまうため、原因を取り除くことが重要になってきます。
便秘や下痢以外にも、体の冷えや下半身に力のかかる運動、同じ体制で座り続けることなども原因になります。
肛門の冷えを防ぐためには夏場は冷房の温度設定を少し高めにしたり、ひざ掛けやカーディガンを使ったりして体を冷やさないようにしましょう。
また、プールなどに入った後は、温かい浴槽に入り体を温めることも効果があります。運動後にも暖かい浴槽に入り体を温めることで血流をよくすることにより、血栓ができるのを防ぐ効果があります。
長時間同じ体制でいることにより肛門がうっ血し血栓を生成してしまうので、1時間ごとに席を立つなどして血流を良くしましょう。
いったん血栓性外痔核が治っても、肛門に負担をかけるようなことがあると、血栓性外痔核を繰り返してしまいますので、一度できたことがある方は生活習慣を改めましょう。

膿皮症
■膿皮症とは
肛門周囲のアポクリン汗腺に細菌が繁殖することにより、皮下に膿(うみ)がたまる病気です。
膿皮症は皮脂の分泌が活発な20~30代の男性に生じやすく、中年以降の方ではあまり頻度は高くありません。
一見、痔ろうによる肛門周囲膿瘍に似ていますが、肛門内へ続く硬くなった組織がないことで鑑別できます。
膿皮症を放置しておくと徐々に広がっていき、お尻の皮膚全体が夏ミカンの皮のように硬く化膿して座れなくなる場合もあります。
痔ろうを併発していることもあり、正確な診断には注意を要します。

■膿皮症の症状
初期の症状はニキビと極めて似ていて、膿疱や小さな皮疹が生じます。それがしだいに数多く発生し、融合して大きくなっていきます。
炎症を何度もくりかえすため、患部の皮膚は全体的に硬く厚くなっていきます。皮膚の下では膿瘍と呼ばれる洞窟がつくられ、圧迫されることで悪臭をともなった膿が外へ排出されます。

■膿皮症の検査方
問診
指診
肛門鏡検査
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

■膿皮症の治療法
治療の原則は外科的切除です。
瘻孔の開口部や硬い部分の皮膚を円形にくり抜き、皮下組織まで達します。これを繰り返し行うことで、臀筋と皮膚に囲まれた病変がひと塊で切除されます(温存された皮膚はメッシュ状に残ります)。筋膜付近の一見正常に見える部位の皮下瘻管も見逃さないように病変部を大きく切除するのが原則です。
瘻管が非常に複雑に分岐していたり臀部全体に広がっていたりする場合などは、再発率が高く非常に難治性です。皮膚欠損部が大きくなった場合には、ほとんどは自然に肉芽が上がってくるのを待ちます。
(ある程度の肉芽形成後に遊離植皮を行う方法や、完全切除後、一期的に筋皮弁を用いて再建する方法も報告されています。)

痔ろうを合併するのかどうかは、術前に超音波検査やMRIを行えば、ある程度は把握できます。しかし、術前診断で「膿皮症」とされていたものが、手術中に「痔ろう」だと判明したり、またその逆のパターンもあったりと、完全な術前診断は不可能です。「膿皮症」も「痔ろう」も完治のためには根治手術が必要なことに変わりありません。

■日常生活で気をつけること
膿皮症は放置しておくとだんだん広がってきます。気を付けるのはおできの出現を繰り返すようになったら1度病院を受診することです。
ひどい人では臀部の皮膚全体に広がってしまい、座ることもできなくなってから病院を受診する人もいらっしゃいます。あまり長く放置しておくと病変も拡大し、手術が大変ですし、皮膚がんが発生することもあります。

毛巣洞
■毛巣洞とは
巣洞とは、尾底骨の正中部分、割れ目の上側が圧迫されることによって、体毛が毛穴の中に入り込み、皮膚の内部で瘻孔(ろうこう、sinus)を形成し、炎症を起こす感染症です。
特におしりの毛深い若年男性に好発します。
別名、毛巣洞炎、毛巣嚢(もうそうのう)、毛巣嚢胞(もうそうのうほう)、毛巣瘻(もうそうろう)、毛巣病とも呼ばれています。また、生まれた時から体毛の原基が皮膚にもぐりこんでいる場合は、皮膚の表面から体の内側に向かって管が伸びており、先天性皮膚洞とも呼ばれています。

■毛巣洞の症状
毛巣洞に感染すると、肛門の背中側の上方の皮膚の表面の嚢腫(袋状の腫瘍)に、痛みや、腫れ、膿、しこりが出来るなどの症状が現れます。

■毛巣洞の検査方
問診
指診
肛門鏡検査
大腸検査

■毛巣洞の治療法
膿がたまっている場合にはまずは切開排膿処置(切開し膿を出す処置)を行います。これは応急処置にすぎず、自然治癒もまずあり得ませんので、後日、毛巣洞の化膿している袋ごと切除して縫合する手術が必要です。切除された「化膿している袋」の中には毛髪があることが多いです。この毛巣洞の根治手術はほとんどが日帰りで可能で、再発もあまりありません。

■日常生活で気をつけること
毛巣洞は体毛が毛穴の中に入り込むことによって発症します。そのため、原因となる毛自体の処理を定期的に行うことにより、皮膚に毛が刺さる原因をなくし発症を防ぐことが可能です。
また、初期の段階で抗生物質を使用することで、重症化することを防ぐことができるので、違和感を感じるたり、痛みを感じたらすぐに診察を受けましょう。

尖圭コンジローマ
■尖圭コンジローマとは
STD(性感染症)の一種で、肛門の周囲に小さな米粒のような軟らかい多発性のイボができる病気です。
HPV(ヒトパピローマウィルス)の接触感染が原因で、肛門以外では陰茎や腟といった性器に生じることもあります。
通常は性的接触によって20~30代の若い人に感染することが多いのですが、高齢者や小児などの感染経路が不明なケースもあります。性的パートナーも感染していることが多いので、その人も受診する方がよいでしょう。また、尖圭(せんけい)コンジローマのある人はHIV(エイズウィルス)に感染している可能性もあることが分かっています。

■尖圭コンジローマの症状
尖圭コンジローマはウイルスに感染しても、潜伏期間が3週間~8ヵ月(平均約3ヶ月)かかるため、すぐに症状が現れるわけではありません。潜伏期間はかゆみや痛みなど自覚症状が無いため感染に気づきません。イボの大きさは1~3ミリ前後~数センチまで様々で、先がとがって固く、ザラザラしています。色は白、ピンク、褐色(黒っぽい茶色)など様々な種類があります。
一番の特徴は、イボが増殖していくことです。イボが増えてはじめて感染に気づく方がほとんどです。増殖すると鶏のトサカやカリフラワーのような状態になることもあります。

■尖圭コンジローマの検査の方
問診
指診
肛門鏡検査

■尖圭コンジローマの治療法
治療法は薬での治療と外科的な治療に分かれます。

薬物治療

尖圭コンジローマの治療薬としては、ベセルナクリームという塗り薬を、直接イボに塗って治療する方法があります。ベセルナクリームはウイルスの増殖を抑えて免疫を作り、ウイルスに感染した細胞を消失する作用をもっています。ただし副作用として、患部の赤み、ただれ、腫れ、表皮のはがれ、痛み、色素沈着などが見られることがあるため、使用には注意が必要です。

外科的治療

これにはいくつか方法があり、イボの状態によって選択します。
小さなイボに対して有効なのが凍結療法です。この治療法は麻酔をせず、液体窒素でイボを凍らせて除去する治療法です。
ほかにも、小~中程度のイボに有効な治療法に電気焼灼(局所麻酔をして、電気メスでイボを焼く治療法)や炭酸ガスレーザー蒸散(局所あるいは腰椎麻酔をして、炭酸ガスレーザーで蒸散させる治療法) があります。
ただし、完全に切除を行っても体内にウィルスが残っている間は再発率が高く、一度の手術では完治せず、何回か追加治療が必要となる場合が多いです。

■日常生活で気をつけること
性病の場合、コンドームの使用などで感染を防いだりすることができることもありますが、この尖圭コンジローマにいたっては、イボができる部位は陰部付近や肛門付近であり、患部が広範囲であるため完全に予防することはできません。

しかも、潜伏期間が長く、症状も進や行具合も人それぞれ違って来るため、感染したことに気づかずに、性行為で感染を拡大させている恐れもあります。
そのため、感染を予防するためには、不特定多数との性行為を控えることしかありません。感染を拡大させないためには、症状を見逃さず早期に治療することです。

直腸脱
■直腸脱とは
直腸が肛門から脱出してくる病気です。ひどいものでは、直腸が反転して直腸壁全層が10〜20cmほど肛門から飛び出します。
便秘、排便時のいきみが誘因になります。小児や若い成人でもみられますが、主に高齢の女性に多く見られます。
筋層まで含めて直腸の全層が脱出する場合を「完全直腸脱」、直腸の粘膜部分のみが脱出する場合を「不完全直腸脱」というように分類します。
普段は脱肛症状があっても診察時には脱出していないことも多く、診断を痔核と間違われることがあります。

■直腸脱の症状
排便時の直腸粘膜の脱出が主な症状です。さらに進行してくると、歩行時にも脱出が認められ、肛門括約筋の障害を伴うようになります。また、便秘症などの排便障害や出血などにも繋がります。

■直腸脱の検査法
問診
指診
怒責診
肛門鏡検査
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
肛門内圧検査
排便造影検査
骨盤MRI検査

■直腸脱の治療法
治療に関しては、直腸脱は薬では治療できないため根治手術(直腸脱手術)が必要です。
若年者の場合は、全身麻酔後、直腸を腹部の壁に固定する手術(腹腔鏡下直腸固定術)を行います。一方、全身麻酔にリスクがある高齢者の場合は、腰椎麻酔で可能な会陰式の手術方法もあります。会陰側から粘膜を切除するデローメ手術や、粘膜をつまんでしばる三輪ガント手術、肛門出口を狭くするティールッシュ手術などが一般的です。
直腸脱手術は場合により日帰りで可能です。

■日常生活で気をつけること
いきまずに排便をすることが重要になってきます。
排便の促し方はいくつかあります。

お腹のマッサージ

外から腸を刺激することで排便を促します。トイレに座ったままお臍を中心に「の」の字を描くように時計回りに撫でます。腸内の動きは右下から始めまって左下に終わるので、逆向きにマッサージをしないように気を付けてください。

お腹を温める

蒸すかお湯で温めて絞った60度ほどの熱いタオルを10分ほど腰に置いておくやり方が一般的です。温熱刺激によって血液循環が良くなることから、腸の運動を促すため排便を促すのではないかと考えられています。電子レンジでも簡単に作れるので便秘の方にはおすすめです。

下剤の服用

どうしても便が硬くていきまないと出ないという方は、下剤を服用しましょう。
便に水分を吸収させて柔らかくし、排便を促します。代表的な薬はマグミットやマグラックスです。ただし、下剤に頼り切ってしまうことはよくありませんので、生活習慣などを整えることを心がけましょう。
どうしても便が出ない場合はリラックスし、一度大きく深呼吸しましょう。そして、無理に排便しようとせずに、自然に出てくるまで待ちましょう。

肛門ポリープ
■肛門ポリープとは
直腸と肛門の境目(歯状線)にある、肛門乳頭という膨らみが大きくなったものです。肛門ポリープは、大腸のポリープと違ってがんになることはありませんが、薬で治ることはないので、肛門から飛び出るほど大きくなった場合には切除が行われます。性別年齢関係なくできることが特徴の一つです。
肛門ポリープは慢性裂肛(切れ痔)に伴って発生することが多いです。他には慢性的な下痢や便秘、痔核、痔ろうなどの歯状線付近での慢性的な刺激や炎症が原因となり発症する場合があります。排便時にいきむ習慣があるとポリープが肛門から脱出しやすくなるので注意が必要です。

■肛門ポリープの症状
排便後にポリープが肛門外に脱出し出血や痛みを伴うことがあります。この脱出したポリープを手で元に押し込めてやることでしばらく無症状で過ごせます。ただし、ポリープが大きいと常に便意を感じることがあり、またポリープが肛門に出入りを繰り返すことで肛門がかぶれて痒みがでることがあります。

■肛門ポリープの検査法
問診
指診
触診
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

■肛門ポリープの治療法
肛門ポリープは通常、悪性化する事はありませんので治療を行うことはありません。しかし、希望される場合は外来での切除を行うこともあります。
また悪化すると、痛み、出血など症状が現れる場合があります。このような症状がある方は手術を行います。
手術では局所麻酔を使い切除を行います。また、慢性裂肛が原因であれば裂肛根治術を行い、肛門ポリープを裂肛とともに切除します。

■日常生活で気をつけること
まずは便秘にならないように生活習慣を整えましょう。

習慣的な便秘

普段、大腸は収縮活動(ぜんどう運動)をすることで、便を送り出しています。このぜんどう運動は1日中同じようにあるわけではなく、朝食を摂ると眠っていた胃と腸が目を覚ましてぜんどう運動が起きることが分かっています。この胃結腸反射がスムーズにおこれば排便が促されますので、便秘が解消しますので、生活習慣の改善をしましょう。
また、運動不足の方は、大腸のぜんどう運動が低下し胃結腸反射が弱まり便秘となります。便秘のタイプとしては最も多いといえるでしょう。典型的なのは病院に入院中の患者さんです。1日中ベッドで安静にしていると、ほとんどの方が便秘傾向になりますので注意が必要です。
そしてしっかりと食物繊維を接種しましょう。野菜・穀物・豆類・海藻類には食物繊維が含まれています。食物繊維は大腸粘膜に刺激を与え、排便を促します。
現代の日本人は食物繊維の摂取量が非常に少なくなっており、便秘の原因となっています。サプリメントや寒天でもよいので、十分に摂取するよう心掛けましょう。特に野菜は大腸癌を予防する食物でもあるため、料理などへ積極的に取り入れてみましょう。
また、食物繊維を腸の中で膨張させて便の量を増やすために、水分を取ることも大切です。

精神的な便秘

うつ病の方は便秘になることがあります。最近疲れやすい、何事に対しても意欲がわかない、夜眠れないなどの症状があれば「うつ病」 の可能性がありますので、心療内科や精神科を受診しましょう。
また、そこまででないにしても、最近では過敏性大腸症候群が多くなっています。日常生活のいろいろな精神的ストレスが腸に影響を及ぼし、腸が過敏状態になり、けいれんして便がスムーズに出なくなる状態です。若い女性に多く、日頃からストレスを軽減して精神の安定を図ることが重要です。

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