胃腸肛門ランド

    ー Gastrointestinal anal land ー

なんで妊娠中は痔になりやすいの?

こんにちは、胃腸肛門ランドです。
季節の変わり目で最近暑くなってきましたが、体調はいかがでしょうか。

さて、前回は 『妊娠時に最もかかりやすい痔の種類ってなに??』についてお話ししました。
妊娠中は痔になりやすい!?シリーズ、今回は『そもそもなんで妊娠中は痔になりやすいの??』という疑問についてお話していきたいと思います!

前回、妊娠時に最もかかりやすい痔と結果がでていたいぼ痔(痔核)について注目してお話していきましょう。
まずはちょっと前回のおさらいから・・・

いぼ痔とは?

いぼ痔は簡単に言うと、肛門付近の血行が悪くなり血管の一部がしこりになったものです。
痔は誰もが持っているとも言われるほどよくあるもので、いくつか痔の種類がある中でも男女共にいぼ痔の割合が多く、肛門科を受診する患者さんの中でも多くはいぼ痔を自覚している人が多いです。
今回注目している“妊娠中”という状態は痔になりやすいと言われており、妊娠中の痔の患者さんの割合は5割以上にもなります。いぼ痔・きれ時・痔ろうとある中で、妊娠中の患者さんの中で最もできやすいのがいぼ痔です

では今回の本題、『どうして妊娠中にいぼ痔になりやすい』のか、妊娠と痔の関係性についてみていきましょう。

いぼ痔の原因とは!?

妊娠中にいぼ痔になってしまう原因には大きく分けて2つあります。

血液の量が増えてしまうから

妊娠すると、今後胎盤に流れる血液を準備する為に身体が水分を蓄えはじめます。そのため母体の血液の量は妊娠前の約1.2倍に増えます
※血液の約90%は水分といわれている為

血液の量が増えた結果、心臓に負担がかかる為いつもより心拍数が早くなったり、少しの運動で動悸がしたりするようになります。
また、心臓が身体の隅々まで送った血液をまた心臓に戻すために身体の静脈にも負担が掛ります。静脈血は、静脈の内部にある弁のようなもので上に押し上げられて心臓まで戻っていきます。
妊娠によって血液が増えたことにより、戻しきれなくなった静脈血がこぶのように膨れて溜まってしまうことがあります。これを静脈瘤と呼びます。

このようにして、肛門付近に出来た静脈瘤がいぼ痔の正体です

妊娠中は子宮が大きくなるから

妊娠中の大きくなった子宮が影響をしているともいわれています
妊娠すると胎児の成長とともに子宮が大きくなるため、肛門や直腸付近の血管が圧迫され、血液の循環が悪くなり、その周りの静脈がうっ血しやすくなります
また、お腹が大きくなってくると体を動かしづらくなり、座っている時間が長くなるので、肛門まわりが血行不良を起こしやすくなります。

血液の循環が悪くなりうっ血し、血管の一部にしこりができ、それがいぼ痔になるのです

このほかにも、いぼ痔以外の痔のリスクがあります。例えば、妊娠中はホルモンバランスの変化などによって便秘になりやすく、これも痔ができる原因として挙げられます。硬い便を無理やり押し出そうとすると、肛門に大きな圧力がかかったり、周辺の皮膚が切れたりして痔ができることがあるのです。
様々な理由が重なって妊娠中は痔が出来やすい・・・というわけですね。

まとめ

妊娠そのものがいぼ痔やその他の痔になるリスクを高めてしまうということがわかりました。
痔は、お腹が大きくなる妊娠中期~後期によく見られますが、できるだけ早い時期から予防・対策をしておきたいですね。

妊娠中に痔ができてしまい、痛みや不快感に悩まされる妊婦さんも多いようです。
痔の悩みは相談しづらいかもしれませんが、早めに治療した方が治るのも早くなりますので、肛門科に問い合わせてみてくださいね。

まだまだ、妊娠中は痔になりやすい!?シリーズは続きます。
次回は、痔になってしまって出産に影響はないの??というテーマでお話して行きたいと思います!!!

胃腸肛門ランドの最新記事をtwitterにてお届け中!