胃腸肛門ランド

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ペプシノゲン検査とは?

こんにちは、胃腸肛門ランドです!
ちょっと今日は長めにブログを書いてみようと思います。今日の話題に「胃」に関係したお話です。

皆さんは、「ペプシノゲン(ペプシノーゲン)検査」というのはご存知ですか?
会社の健康診断の血液の項目で目にしたことのある方もいらっしゃるのではないかと思います。
このペプシノゲンは胃粘膜の分泌腺から胃の中に分泌されるもので、胃酸によってペプシンというタンパク質を消化・分解する酵素になって働きます。胃の中で働くものなのになぜ血液の項目に含まれるのかというと、そのうち約1%が血液に流れ出すため血液検査で測定が可能…というわけです。
さて、このペプシノゲンですが、調べることで何が分かるのでしょう?

胃の健康状態がわかる!

●「ペプシノゲン値が低い」=「胃粘膜が老化&萎縮」
ペプシノゲンの分泌量は胃の粘膜の状態により変化します。
萎縮した粘膜(=老化やピロリ菌によって起こる元気の無い粘膜)になると、ペプシノゲンの分泌は低下します。
皮膚で言えば、若いと艶のある潤った肌も、老化がすすむとシワが多くなってカサカサしてきますよね。それと同様に、胃の粘膜も老化が進むとつるっとした胃からシワが多くなり、ペプシノゲンの分泌も減ってくるのです。
ということは、ペプシノゲン(PG)の血中濃度を調べることにより、胃の粘膜の健康度がある程度わかると考えてよいのです。

●「胃粘膜が老化&萎縮」=「胃がんになりやすい」
胃がんの多くは、萎縮の進んだ元気のない粘膜から発生します。
「萎縮性胃炎は胃癌の発生母地である」という言われ方をします。
今までのお話で分かるように、ペプシノゲン値が低いと「胃がんになりやすい」ことになります。そのため、会社の健康診断では「精密検査(胃内視鏡検査)を受けてください」ということになるのです。

ペプシノゲンは2種類ある?

このペプシノゲンについてもう少し詳しく解説をしましょう。
ペプシノゲンは大きく分けて、「ペプシノゲンI(PGI)」と「ペプシノゲンⅡ(PGⅡ)」があります。
・ペプシノゲンI・・・主に胃底腺の主細胞(胃の下半分;胃底部や胃体部にある)というところから分泌されます。
・ペプシノゲンⅡ・・・主に胃底部のほか噴門腺(食道と胃のつなぎ目付近)・幽門腺(胃の出口付近)・十二指腸腺(十二指腸の付近)など、胃全体から分泌されます。
胃の粘膜の萎縮が進むと、胃底腺領域(胃の下半分)が縮小していくためペプシノゲンIの量が相対的に減ってくることになります。そこで、検診では、ペプシノゲンI/ペプシノゲンⅡ比をもって判定している施設が多いです。
基準値(正常値)は、ペプシノゲンI(PGI)値≧70ng\ml、ペプシノゲンI/ペプシノゲンⅡ比≧3.0とされています。

手軽に胃の状態がチェックできるペプシノゲン検査はとってもいいじゃん!と思うかもしれませんが、この検査に頼りすぎるのは少し危険とも言えます。それはなぜでしょうか?

ペプシノゲン検査は採血だけの検査だから、欠点もある

「ペプシノゲン検査」は採血だけで行えて簡単なのですが、盲点もあります。
このペプシノゲン検査は上に書いたように胃の粘膜の萎縮・胃の老化度を検出する検査です。
つまり、直接胃がんを検出する検査ではないため、見逃されるタイプの胃がんが少なからず存在するのです!
萎縮性胃炎を経ずに、元気な胃粘膜からいきなり発生する胃がんに対しては「ペプシノゲン検査」は無効ということになってしまいます。
そのため、医療機関が診断目的でペプシノゲン検査を行うことはまずありません。
胃がんを見逃さないようにするためには、やはり年に1回の胃内視鏡検査を受けることが必要なのです。

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